朝からレザーの展示会へ。職人さんと会場で落ち合った後、お互いに馴染みの取引先が違うので、行く先々をどちらかが案内しながら進む。一旦ランチを済ませて、今度は革メーカーまで二人で歩く。メーカーで、カタログやサンプル帳には載っていない、めちゃくちゃ良いオイルヌメを見てしまい、手に入れたい衝動に駆られたので職人さんをチラリとみると、同じ目をしている。帰り道、あれはいいなぁと何度も二人で呟きながら、その革メーカーで見た様々な革について話をする。
エイジングのシザーケースで利用しているヌメ革は、フルタンニンのいわゆる本ヌメという物で、鉱物を一切使わず、クロムを一切含んでいない。皮を植物タンニン溶解液のビット槽で、薄いタンニン槽から濃いタンニン槽へと順次漬け込まれていくので、手間も時間もかかる代物。それだけに使い込むと味が出るし、天然ならではの傷やしわや、ちょっとしたほくろのような汚れは個性と捉えているけれど、レザーの展示会を見ていると、その個性をうまく利用して生かす事ににこだわったヌメ革もあれば、革の部位によっての優劣を無くす為に均一に加工されているものもある。天然の傷や皺やアザのようなものを個性とする革が、かならず良い素材なのかと言えばそれも違っていて、人間の肌と同じように、きめ細かい肌でトラブルがなければ、わざわざ傷や皺を目立つように加工するか?ということも言えるので、ケースバイケースだ。
今日見たオイルヌメは、フルタンニンの本ヌメにオイルを入れていたけれど、トラや血筋も何ともいい具合だった。あんな風に個性が引き出せる革の鞣しは素晴らしい仕事だと思う。そして、素材も申し分ないものだった。
